a1ma1mブログ

よろづ天道まかせで

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

富国の法

「・・・世上の経済家富国の法を論ずるに、大抵皆蓄積を以て主とするは、此れ大なる誤なるべし・・・」 (佐藤信淵、『経済要録』) ここで蓄積とは民間経済における資本の蓄積を指すわけではない。税を引き上げ、国庫の歳入を増やすことを指す。信淵の基本…

路中の游手

佐藤直方の「冬至文」には、聖学を務めずして俗学を事とする人間は「路中の游手」であるとの言葉があるという。游手とは手足動かさずぶらぶらしている存在をいう。路中は街中を指すのだろうが、今日、ネットを含め路中はいろいろ。そこで聖人の学を務め、世…

国用なる勤

「人間と申は、惣て、天性五常の徳義備居候故、上下万民、才柄無柄共、皆以て国用の積に候、諸細工、又は店を開き致商売候儀、皆以て渡世の働に候へども、畢竟国用なる勤に候。」 琉球の実学者であった蔡温は「御教条」にていいこと言っているな。才能があろ…

理屈

「理屈によつては改(あらた)め給ふべからず。人情に応じ時処(ときところ)に随つて改め給ふべし。初めて大道を興さんと思ふ者は法を先にすべからず・・・ (『集義和書』) 理屈によって世の中を変えようとする人もいらっしゃるが、なかなかそうはいかな…

一文は無文の師

「・・・一文は無文の師といへば、愚(ぐ)の如き者も虚名に居て人の師とならば、成りもこそし侍らめど、・・・ (『集義和書』) 無駄に過ごしてきた時間が多いようにも思うが、それなりに歳を重ね、若い人から物事を尋ねられるときがある。たいした答えな…

溶ける

荻生徂徠、「政談」にこうある由。 「金サヘアレバ如何様ノコトモ成ト云所ヨリ、世界ノ風俗段々ニ奢ニ成タル故也・・・寛文ノ中比ヨリ、ハヤ世界ソロソロトケ様成筋ニ趣ケルト見ヘテ・・・ カネがあればなんでもできるようになるほど、人々は驕るようになる…

間断なき

「・・・つとめは一念独知(いちねんどくち)の知にあり。寝(ね)つ起(おき)つおこたりある様に見えても、病者か老体かにて、気疲れては休み気力付(つき)ては起きてつとめ、独知に暫くの間断なき人あるべし。・・・ (『集義和書』) さて今日も一日、…

狂見

「・・・予いまだ凡情をまぬかれずといへども、狂見ありて大意を見る故に、世のそしりにひかれず独立(ひとりた)てり。 (『集義和書』) 狂といえば、常軌を逸して狂っている意味もあるが、大なる志を持つ故に、こまごまとしたことを気に掛けないことも意…

御趣意

「・・・御入用金御下け被遊候間、大小の御百姓始め取扱候諸役人一同、御入用御下げ金得失を争ひ、御趣意は外事(そらごと)の様に成行き、起返(おきかえ)り不申哉に奉存候。・・・ (尊徳、「宇津釩之助様御知行所村々へ申渡書」) 公金を予算として獲得…

恥心

「・・・人の親たる者徳を知らざれば、恥心(ちしん)ある子をば叱りおどして恥心を亡(ほろぼ)し、恥心なき子をばほめ愛していよいよほこらしむ。賢才(けんさい)は日々におとろへ、驕吝(けうりん)は日々に長ずる所なり。・・・ (『集義和書』) 我が…

薬を用ひて

「・・・薬を不用して、日を経ぬればおのづからいゆる病に、下手(へた)医者(いしや)の薬を用ひて大煩(おほわづらひ)となすが如し・・・ (『集義和書』) 只今の日本経済、薬を用いずして日柄で直る病なのか、そうでないのか、声高の政策あれこれ、下…

金銀財用をあたふる

「・・・人に分(わか)つに財を以てするを恵(けい)と云ふ。世人是を仁なりとし徳なりとす、受(うく)る者大に悦(よろこ)べり、人に教ふに善を以てするを忠(ちう)と云ふ、世人是をそねみそしり、教へらるゝ者は悦(よろこ)びず。甚(はなはだ)しき…

民力の直(あたひ)

地域振興とかにつき、各方面のあれこれの議論を長年聞いてきた。しかし、基本は昔から変わらんなとは、尊徳の「宇津釩之助様御知行所村々へ申渡書」を見ての感想。 「古語に「民は常の産なければ常の心なし」とかや。全く常の産不足致し候故、余業を相励み、…

昼強盗

「爰米などの借(し)かたする者有(り)て、其利息を取るを見るに、壱割二割と名付(け)て借す。其壱割といふは、米壱斗に付一ヶ月に米壱升、三割といへるは、米壱斗に弐升の利なり。是を金銀に直してつもり見れば、彼車銭の利息に、まさりはすれども、お…

無法無理の利

「・・・就中朝にかりて夕になし、或は五日切・十日切・三十日切の定(め)をして、車銭(くるまぜに)など、名付(け)て高大の利を取る。されば此車銭といふことは、百文に日に壱文、壱貫文に日に拾文の利息なり。然れば、壱ヶ月には三百拾壱文、十ヶ月に…

急難の時節

江戸時代は貸借の利息が高かったと知られている。信用創造する近代的銀行システムが入る前であったということもあろうが、利息の上限が年利一割五分(天保以降は一割二分)と決められ、これを超える高利貸借に係る訴訟を取り上げないこととされていたが、現…

小より積む

「翁曰、万巻の書物ありといへども、無学の者に詮なし、隣家に金貸しありといへども、我に借る力なきを如何せん、向ひに米屋ありといへども、銭なければ買ふ事はならぬ也、されば書物を読んと思はば、いろはより習ひ初むべし、家を興さんと思はヾ、小より積…

凡情

「夫富貴安逸を好み貧賤勤労を厭ふは、凡情の常なり (尊紱夜話) 周囲を見渡すと貧賤勤労を厭う人が増えた感じがする。公務員のような国庫寄食者が富貴安逸を誇っているのを見せつけられているせいかな。いやそう考えるのも凡情の常かもしれん。

帰する所

「・・・人情を知り、且つ天下の帰する所は、人力に及ばざる事を得心ありたる故・・・ (『集義和書』) 天下の帰趨は一人の人間によってどうなるものでもない。しかし今はどうとでもなると思っている人々もいるのかもしれない。とくにマスメディアという高…

窘蹙(きんしゅく)

「・・・聚斂(しゅうれん)を専(もっぱら)とし、貨殖を務て君の府庫を実せしめ、此れを以て富国とする者の大なる誤なることを知る可し。・・・凡そ財用を積聚るは、何れ吝嗇を行はざれば調はざることにして、苟も仁心深き人には絶て出来易からざること也…

及ぼす所

「・・・人民に及ぼす所実(じつ)なく理に叶(かな)はざれば、終(つひ)に平治(へいぢ)なるまじきとなり。・・・ (『集義和書』) 政治家たちが増税を語っているが、理にかない実あるかと思う。

人の口に甘き

「・・・李(すもゝ)はたゞに人の口に甘(あま)きのみにて、終(つひ)に人を養ふべきものにあらず。麦ありて食し、麻ありて衣にし、其間の菓子には李あるもよし。朝には君子賢者有りて政教行はれ、其下に使ふには小人も苦しからじ。小人ばかりより合ひて…

模欧倣米

渡邊瑳美による、自治学会編、『権藤学説、批判への批判』の跋文の冒頭に下記の文言を見る。 「我国目下ノ窮状ハ、模欧倣米是レ事トシ、固有ノ典制ヲ顧ミサリシ結果ニ外ナラス。官僚ノ権勢、資本ノ重視、商工ノ保護、議会ノ混濁、以テ民生ノ均齊ヲ紊リ終ニ農…

膳中の一飯

「膳中の一飯も一粒一粒民の辛苦より出たり。古(いにしへ)の人は食するごとに其功を思へり。天下は相助け相報(あひむく)ゆる道理なり。・・・」(『集義和書』) こういう話、子ども時分は親からよく聞かされたもの。最近の人は食への感謝などないのかも…

知行合一

知行合一はとにかく好みの言葉であったし、いまも変わらない。とにかくやってみなければと思っている。これにつき、蕃山は心友と『集義和書』で、こう問答している。 「心友問。知行合一といへども知(しつ)て不行者多し。知ることは易く行ふことは難し。さ…

天下の事情

「暴風に倒れし松は雨露入にて既に倒れんと為る処の木なり、大風に破れし籬(まがき)も杭朽縄腐れて将に破れんとする処の籬なり 夫風は平等均一に吹く物にして松を倒さんと殊更に吹くにあらず 籬を破らんと分て吹にあらざれば、風なくとも倒るべきを風を待…

言い訳

無欲につき蕃山は『集義和書』で、こう言っていた。 「・・・無欲ならば身代(しんだい)も続き難く、世間の務(つとめ)もいかゞ有るべきと思はれ候へども、無欲なれば身代もつゞき世間の務もよく成る事に候。奢(おごり)は陽の欲、しはきは陰の欲なり。」…

鍬鎌の鍵

「夫我道の尊む増殖の道は夫と異なり、直ちに天地の化育を養成するの大道にして、米五合にても麦一升にても芋一株にても天つ神の積置きせらるゝ無尽蔵より鍬鎌の鍵を以て此世上に取出す大道なり、是を眞の増殖の道と云、・・・」 「天つ神の積置きせらるゝ無…

古に倍する

BP社によるメキシコ湾原油採掘での流出事故はなかなか流出が止まらず、いまBP社の株も暴落するような事態に至っている。このニュースを最初に聞いたときに、思い出したのが佐藤信淵が『経済要録』中で金銀の採掘につき述べていた条り。 「・・・何づれの山も…

言(ことば)

「・・・善事はたれも人に知られたき者なれども、秘するは故あるべしと知つていふべからず。すべて言(ことば)は、いひて人の益(えき)とならず、己(おのれ)いふべき義なくば黙するにしかず。行(かう)あしきは悔(くい)改(あらた)めて後(のち)は…