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よろづ天道まかせで

無法無理の利

「・・・就中朝にかりて夕になし、或は五日切・十日切・三十日切の定(め)をして、車銭(くるまぜに)など、名付(け)て高大の利を取る。されば此車銭といふことは、百文に日に壱文、壱貫文に日に拾文の利息なり。然れば、壱ヶ月には三百拾壱文、十ヶ月に三貫百拾壱文となる。爰におひて、利に利をかけて見る時は、十倍の利息となる事、無法無理の利なれども、借らねばならず、かる者あり。・・・
(『教訓世諦鑑(きょうくんせたいかがみ)』)

車銭とはよくぞ名付けたと思う。カネを必要としているものに、くるくる廻る車のように銭をまわす。しかし問題は利息である。朝借りて夕方返す、その日のうちの、まるで日内マネーのごとき融通から五日切り、十日切りと車銭は短期の貸借ではあるが、金利は高い。ましてや利が利を生む複利となればなおさら。

しかし、借りねばならぬ事情の者がおり、借りることになる。その事情が急迫しているほど、資金の貸し手や出し手の立場は強くなる。それは高大な金利に現れる。