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よろづ天道まかせで

捨て心

そろそろ昼か。仕事中断。
ちと読書の積もりで「秘録」の第五 商巧者(こうしや)の伝に目を遊ばせる。こうあるな。

「商をせんと思ふ節最初先損銀の積(つも)りをすべし 譬は銀壱〆目或ハ五百目或は百目 是を捨(すて)痛(いたみ)にならす 又重(かさね)て仕掛(しかヽ)りても同し 捨心にて仕掛りて二三度違(ちがひ)ても左(さ)のみ痛(いたみ)にならさるほとを積(つも)りて 分際相応にして 先目出しに俵数少し仕掛へし 千俵せんと思ハヽ二百四百 百石せんと思ハヽ二十四十すべし 或は思入違(ちがひ)たる所にて是程(これほど)の損にて仕舞(しまふ)と分別し 又は一ぱい平均(ならし)て 喩(たとへ)は買に損あらは又安き所にてかい ○ ねをならす事也 其上にても違ふならは誤(あやまつ)て早(はや)く見切(みきり)仕廻(しま)ふへし 最初に斗りし損より多く損すへからす 

ちょっとこのへんで切るか・・・

相場をする心得だな。捨て心とはよい表現だと思う。最初にたとえ損しても痛みにならぬ金額を積んでおき、それで始めよと。そうして投資額も思った金額の二割、四割に止め置く。読みが外れたときは、損切りするか、いわゆるナンピンで売値や買値の平均を引き上げたり引き下げたりして損失回避を計れと。ナンピンの手法は八木書でも説かれているが、当時よく知られていたのかとも思う。難平で「ねをならす事」の文の上に○印があり大事なことと注意を喚起しているようにみえる。

難平でも見込みに反し続けるようなら早々に見切り、手じまうべしと。そうして大事な原則を述べる。当初予想した損より多く損するな、である。