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よろづ天道まかせで

商家秘録

日の暮たる様

落ち込んで鬱病かもしれないと悩んでいる人がいる。事がうまくいかなかった時はよくある話なんだが、端で見る以上に本人は考え込んでしまったりしている。商家秘録ではこんなこと言っていたなあ。 「・・・真実を以て堅固に勤る心おこらす貯へし物みな沽却(…

心を万方にはせて

『商家秘録』、第三十四の米相場世諺(せげん)の一にある、 「・・・我一国一郡の事を以諸国の事を計(はか)る可らす 心を万方にはせて思慮(しりよ)すべし・・・」 という言葉は好みだ。自国も隣国も豊年のとき、そうした状況をみて自然と気弱になって値…

仕損じる

「・・・小判商より知(しり)たる小ぬか商がましといふに違(たが)ハす 然(しか)れ共此商に掛(かゝ)りて大損に逢(あ)ひ此損銀をおしく取かへさんとて次第に損(そん)重(かさな)り終(つい)に身上を仕損して・・・」(『商家秘録』) まあ秘録に…

「三度の損より二度の利」

「・・・幾度(いくたび)も如此(かくのごとく)して百目つゝ三度に三百 五十目つゝにて三度に百五十目也 其余思入違はさる時は利分也 此利分に就(つき)て掛引の事は奧(おく)にしるす勘弁あるへし 右の如く斗りて商をなす時ハ損ハ度重(たびかさな)り…

捨て心

そろそろ昼か。仕事中断。 ちと読書の積もりで「秘録」の第五 商巧者(こうしや)の伝に目を遊ばせる。こうあるな。 「商をせんと思ふ節最初先損銀の積(つも)りをすべし 譬は銀壱〆目或ハ五百目或は百目 是を捨(すて)痛(いたみ)にならす 又重(かさね…

市場

『秘録』第四の相場高下論にこうある。 「相場の高下ハ人の売買するに付て高下するといへとも是をなすは人力の及ふ所にあらす 天地自然の道理なり 大富なる人金銀の力を以て或は買〆売出す時一旦其米の高下ある様に見ゆる事ありといへども始終に其功ある事な…

一膽(きも)二運

「・・・都(すべて)古人(こじん)の碁(ご)を打(うつ)に勝(かた)むと打(うた)ず負けじと打へしという心をもつて心身堅固大勇猛の了簡を以て商に掛るへし 勇猛の心なくんは此商堅くなすへからす 一膽(きも)二運と諺にもいへり う〜ん、一膽(きも…

静かに思慮して

「・・・速に仕まけたるとてなけき恐れす驚かす静かに思慮して事ハ遅(おそな)はるへからす・・・ すぐにうろたえるようではアカンな。考える時間はあるものだ。たしか本間宗久も三日待っても遅くはないということを言っていたと記憶している。

動かさるに至りて

「陰(いん)極(きはまつ)て陽(よう)生(せう)するの類ひ動かさるに至りて大高下のはしたるへし 商の道は常々風波(ふうは)に渡海(とかい)する思ひ 武士の戦場に望む心を以て掛引すへき所・・・ 上げ下げが反対方向に転じるときは動いていないように…

何時を斗られさる

「相場うこかざる節はしめ是に掛かる時ハ相場動かは何時にても止へしと思ふ了簡にて仕掛れとも其場に至りて其事に打掛り肝心の高下を取はつす事多し喩(たとえ)動かさる節も何時を斗られさるは相場也 ここでその事に打ち掛かりのその事とは、もちろん大酒(…

可愼次第

さて、商可愼次第(あきないつヽしむべきしだい)を扱う『秘録』第三を読むか。 米商をなさんと思はヽ大酒(だいしゆ)滛事(いんじ)盤上(ばんじやう)慰(なぐさみ)事堅く禁すへし と始まるなあ。特段相場をやらんでも大事な心がけではある。まあ多言無…

みかへりたる時

「又其昔(そのむかし)足利尊氏京軍に戦(たヽかひ)まけ 西国(さいこく)へ落下(おちくだ)りしに 続て追かけ追かけ討なは 亡ふへかりしを 義貞(よしさだ)軍(いくさ)におこたりて追捨(おひすて)て遠く追はす 楠(くすのき)これを諫(いさめ)て …

変化あるへき気さし

「帳合米ハ米の直段の戦なり往昔(むかし)今川義元諸所(しよしよ)の戦に勝(かち)て桶はざまに陣(ぢん)し歒をあなどり勝ほこつて有しを信長閑道(かんだう)よりさか寄(よせ)して僅(わづか)三千の勢(ぜい)を以て義元二万の勢(せい)に討勝(う…

帳合商い

「・・・此帳合商や虫入虫減(へり)蔵敷の責(せめ)もなく利にあたれば計(はかり)なき富(とみ)を得る事実(じつ)に宝(たから)の市(いち)といふへし 帳合米取引は架空米の先物取引。だから実物の米の保蔵に伴う虫害もない。蔵敷(くらしき)とは倉…

急がず

「・・・大立身を急(いそが)ず時を待(まつ)の心を成し己(おの)が分限相応気の痛(いたみ)にならざる様に心懸(こヽろがげ)へし・・・ 気の痛みになるまで成功を急ぐ人は潰れてしまうな。急がず時を待てと。

欲と迷い

「・・・偬(そう)して損する人多くハ欲と迷ひよりなす所也五リン一分二分の小利(せうり)をねだりて売買仕損し天井と底を心がげて取へき利分を取らす無になす類ひ多し是を以てよくよく欲と迷ひとを離れ一図に相場の高下を進退すへき事也・・・ なるほどそ…

緩みなければ

「・・・然れとも巧者なる舟人といへ洪天の時を得ざれば時にあたつて過ちなき事あたはす是とても不巧者の者のする如くにハ至らす又心たゆますんは無事に元の湊(みなと)へこぎ付るにも至るへし・・・ ここで洪天というは広天の意だろう。そうした天の時を得…

掛引大切

「・・・誠に巧者成舟人の油断なく掛引大切に渡海する如くに勤(つとむ)る時は害すくなくして益多からんか・・・ 「油断なく掛引大切」か。まあなんにおいてもそうだな。

勝ち戦の長追い

「・・・或ハ底値に付込天井をのせ是等は勝軍(かちいくさ)に長追(ながおひ)して伏勢(ふせぜひ)にあたり却(かへつ)て敗北するに同し・・・」 勝ち戦の長追いで辛酸なめた人も多かろうなあ。

万民の用を達する

「・・・又類なき重宝万民の用を達(たつ)する事船に過(すぎ)たるはあらじ商も又これに等し油断よりおこりて利を取へき時を忘れ損を見切り迯るときをはづし利に乗じて米多く可仕入(しいるべき)ときを失ひ不功より仕掛の商覚悟なく思入(おもひいれ)の…

三つの慎み

人生も商いもまさに乗船。船に乗り行くがごとし。そこに三つの慎みありという。 「・・・船を乗るには三ッの慎みあり第一油断第二不功第三不歒也油断より乗おくれ或ハ過(あやまち)をなす不功(ふこう)より日和(ひより)を見そんじ難所をしらす不歒より大…

先物

帳合米を例にあげている。 「・・・就中(なかんづく)米の帳合商ハ高下目たヽく間をまたす貧富(ひんぷ)同じく時の間に替る動(うご)かさる時ハ一日二日五日十日に限らす又は大高下何時(なんとき)の狂(くる)ひも斗(はかり)かたし是(これ)物(もの…

渡世油断なく

「・・・然(しか)れ共多く売買の出来る品(しな)ハ僅(わづか)一歩(ぶ)の利(り)を得(え)て家業(かげう)に当(あた)るあり商(あきない)がさすくなきもの或(あるひ)は代物(しろもの)減(へり)そんする物は高利(かうり)を得ざれバ家業に…

小富大富

「古(いにし)へも小富(しやうふ)ハ勤(つとめ)にあり大富(たいふ)は天(てん)に有といへり勤さへなさは富されとも貧窮(ひんきう)の患(うれい)ハ有まし大(おヽい)に富(とみ)を得る事は運(うん)に乗(じやう)じ時を得されは成がたし人間一…

売るという字

商売のキホンにつき、こうある。 「諸商売品々多しといへとも理(り)を求めて業をなす事は一ツに帰す売(うり)の字買(かい)の字に十一を加ふ是十の一を得るを以て定法とす是一割なり・・・ 売るという字の旧字は、「賣」。よく見れば、買うという字の上…

符牒

仲間うちの言葉につき、こうあるな。 「米市場(いちば)の商人平生(へいせい)いひ扱ふ言葉に甚(はなはだ)あたらさる事多し偸(たとえへ)は相場の高下を足取(あしどり)といひ不思寄(おもひよらざる)事にて高下するを不時(ふじ)といふなと甚(はな…

前後始終

「・・・誤る所ハ急度(きつと)改め利に乗(じやう)する所は速(すみやか)にして勿論利分を取納(とりおさむ)る事に前後(ぜんご)を考へ始終(しじう)を能(よく)すへし」 前後を考え、始終をよくするとは、なんにつけても必要なことだなあ。よい言葉…

「・・・就中(なかんづく)米穀(べいこく)は人間中一日も闕(かく)べからざるの物にして此(この)価(あたひ)の高下(かうげ)掛引(かけひき)の次第(しだい)仁義(じんぎ)をはなれて理(り)を得る事なし貪欲(どんよく)を先んじ小利に迷ひ本心…

人の習い

惣(そうじ)で米商人(こめしょうにん)の習(ならい) 下(くだ)り詰(つめ)たる所にてハ弱気のたらたらを言過し 上り詰たる所にては強気のみを言尽す 言い過ごし、言い尽くす、まことに雷同するは人の習いか。