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よろづ天道まかせで

万民の用を達する

「・・・又類なき重宝万民の用を達(たつ)する事船に過(すぎ)たるはあらじ商も又これに等し油断よりおこりて利を取へき時を忘れ損を見切り迯るときをはづし利に乗じて米多く可仕入(しいるべき)ときを失ひ不功より仕掛の商覚悟なく思入(おもひいれ)の立様(たてやふ)も人気に迷ひて思慮浅く或ハ臨機応変の掛引にうとく不歒(ふてき)より発(おこ)りて大高下の節俵数(せつへうすう)を恐れす始(はじめ)より身上不相応に米を仕込すこしの事にて其米こたへかたく利に成へきを損にて仕舞・・・」


まことに船は値打ちのあるものを各地に運び人の用にたつが、同時にそれは海というリスクのある場所を行き交うもの、商いも諸物を配分する点につきこれに等しいが、リスクや商いの巧拙が問われる点でも船に似ているなあ。

油断しておれば利益を取るチャンスを失う。損切りしなければならぬのに逃げるチャンスを失うこともある。また利益を上げたに乗ずることもできず商いの仕掛けがままならず、自分の考えを立てかね人気の動きに迷うばかり、思慮するところに従い掛引もできねば、相場の高下を恐れず玉を仕込みすぎては少しの変動にもろうばいし利を失い損をふむことも・・・・

商いとはまことにリスクとチャンスに満ちた危ない海を船で行くごとしか。しかしそれが人々に用を達していることも確かなことではある。