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よろづ天道まかせで

心を万方にはせて

『商家秘録』、第三十四の米相場世諺(せげん)の一にある、

「・・・我一国一郡の事を以諸国の事を計(はか)る可らす 心を万方にはせて思慮(しりよ)すべし・・・」

という言葉は好みだ。

自国も隣国も豊年のとき、そうした状況をみて自然と気弱になって値段は下がりすぎるが、そうした下がりすごしのとき米を売っても利はないという議論のなかでのもの。思いを万方に致せば「米の出来る事諸国おびたゝ敷事にて其内には不作の所もあり」ということが分かるという主張。相場というものは弱気、強気ともに行き過ぎるもの、広く万方への配慮が判断のよろしきを得させてくれる。

これ特段、相場に限らないと思っている。人のすること、なかなか配慮、四方に及びがたく、自己を中心にして考えてしまい、物事において誤るということもあるようだから。