小富大富

「古（いにし）へも小富（しやうふ）ハ勤（つとめ）にあり大富（たいふ）は天（てん）に有といへり勤さへなさは富されとも貧窮（ひんきう）の患（うれい）ハ有まし大（おヽい）に富（とみ）を得る事は運（うん）に乗（じやう）じ時を得されは成がたし人間一生の内（うち）に此（この）立身出世の運に乗（じやう）する事必（かならず）あり此時（このとき）をはづすべからす

日々勤労に努めねばならんな、まこと小富といえども貧窮の憂いはない。しかるに大富は天に属するもの。とはいいながら人間、それを掴むチャンスは一度はある。運に乗じて時を得る必要ありだが。さてそれを如何にして知るか。

この歳にして、時を得て運に乗ずるときはあのときであったかと思うときがあるが、それをものにできたかどうかは別として、そういう時があるものだなとは思う。