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よろづ天道まかせで

天下の事情

「暴風に倒れし松は雨露入にて既に倒れんと為る処の木なり、大風に破れし籬(まがき)も杭朽縄腐れて将に破れんとする処の籬なり 夫風は平等均一に吹く物にして松を倒さんと殊更に吹くにあらず 籬を破らんと分て吹にあらざれば、風なくとも倒るべきを風を待て倒れ破れたるなり、天下の事情皆然り・・・
(二宮尊紱、『夜話』)

籬(まがき)とは竹や柴で編んだ垣根のことだが、いまは見たこともない人もいるやもしれぬ。松の木が風で倒れたり、まがきが破れたりするのは、風のせいではない、と。それはすでに倒れ、破れるべくなっていて、風の吹いた機会にそうなっただけ。

まことに天下の事情も、然るべくしてそうなる。雨露入り込んで腐っておれば、倒れるべくして倒れる。そういうもんだな。