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よろづ天道まかせで

窘蹙(きんしゅく)

「・・・聚斂(しゅうれん)を専(もっぱら)とし、貨殖を務て君の府庫を実せしめ、此れを以て富国とする者の大なる誤なることを知る可し。・・・凡そ財用を積聚るは、何れ吝嗇を行はざれば調はざることにして、苟も仁心深き人には絶て出来易からざること也、故に国家に主たる者、聚斂の臣に政事を委任するときは、境内困窮すること上に説るが如し・・・
(『経済要録』)

聚斂(しゅうれん)とは重税を賦課して厳しく取り立てることをいう。まことに只今、国民は「聚斂の臣に政事を委任する」かっこうになっておるな。

信淵は『経済要録』、巻之十四、富国上篇冒頭にてこう記している。

「蓋国を富すと云ふは、其境内人民の食物衣類を豊饒にし、武器兵法を精鋭にして、万一飢饉・外冦等不慮なる変事起り、仮令五年も十年も耕作すること能はずと雖も、諸件の手当悉十分に全備して、少しも窘蹙(くるしむ)ることの無きを云へることにして、・・・」

と。

ここで、窘蹙(きんしゅく)とは、苦しみ縮まることをいう。諸件の手当ことごとく十分に全備することに配慮せぬ聚斂の臣がばっこする国は、萎縮し苦しむことになるのだろう。