a1ma1mブログ

よろづ天道まかせで

権藤成卿

三叉の岐路

「・・・、現代は危機眼前に迫れる行詰りの有様である。然れども此の行詰りは、之を之儘押し進み得らるべきものであろうか、将た之を切り捨てて新らしき生路を求む可きものであろうか、否らざれば更に前代をたどり、其の古来の成俗に由る、我々の血となり骨…

説明

宗教がお好きな方が周囲にいるので、ふと昭和11年に権藤成卿が宗教につき語ったなかの一言が思い出される。 「吾々の立場から云えば単に不可思議観だけでは宗教と呼ぶことは出来ない。何故なら説明の出来ないところに不可思議が存するからである。これに反…

腐敗

厚生年金基金への旧社保庁職員の天下りの話はあきれかえってものも言えぬが、電力料金の値上げを強要する東京電力を見るとどこまで腐りきっているのかと思う。かつて戦前、電力統制に関する逓信省案に対して農本主義者権藤成卿は激しい批判を浴びせたが、そ…

自家の痛痒

権藤成卿の農村自救論、第四講、俗尚、一、 公同の概念の部分は、重要な議論と推測できるが、検閲削除が多くて、ほとんどわからない。まあ、それはそれとして、昨今のテレビを見ながら感じていることを、言ってくださっているかのごとき、一文あり。 「・・…

己を治むるの心を推して

「自治は個人の自修を以て基礎観念とするので有る。各人各自其の己を治むるの心を推して郷邑に及ぼし、縣郡に及ぼし、拖(ひ)いて一国に及ぼすのである。斯くの如くすれば一国は猶ほ一人の如くである。其利と害とは何人も痛切に之を感知して、国の全体に血…

幼想と反動

「・・・新旧転遷の際に於て注意を要するは、斯る場合に行はれ易き、央(なかば)自覚なき幼想のために、適宜の進路を粉殽(ふんこう)せられぬやうにせねばならぬ。又た反動的感情のために、理性の聡明を猾(みだ)されてはならぬ。幼想と反動とは、牽(ひ…

権力者

「・・・我が日本は或(あ)る一部権力者の国ではない。故に継体天皇の詔(みことのり)に『宗廟を奉じて社稷(しゃしょく)を危(あや)ふせざるを獲(え)んや』と云ふことがあり、又大化の詔に『天に則(のつと)り寓を御す』と云ふこともあり、又君民共…

隣保団結

昭和7年に権藤成卿は、市町村制につき『農村自救論』で、こう書いていた。こう彼が指摘する時まで「あらゆる曲折を重ね」、それからさらには現在まで輪を掛けて曲折を重ねたとはいえ、キホンは昭和7年に彼が指摘したこととなんら変わらないように感じる。…

官治組織

下記の『農村自救論』中の一文を見るに、我が国の変わらぬ宿痾は官治組織と思わざるをえないか。 「凡(およ)そ国の組織は、養ふものと養はるゝものとの二つより成立(なりた)つて居る、大は文武百官より、吏員公人、都(すべ)て皆民衆より養はれ、小は老…

勢権慾万能

権藤成卿は「商工保護と議会腐敗」の一文を下記のように始めているが、今日に至るもこれは変わらんのだろうな。 「明治政府は勢権慾万能の官僚によつて、ともかくも其制度が立てられた。」

模欧倣米

渡邊瑳美による、自治学会編、『権藤学説、批判への批判』の跋文の冒頭に下記の文言を見る。 「我国目下ノ窮状ハ、模欧倣米是レ事トシ、固有ノ典制ヲ顧ミサリシ結果ニ外ナラス。官僚ノ権勢、資本ノ重視、商工ノ保護、議会ノ混濁、以テ民生ノ均齊ヲ紊リ終ニ農…

制而斉之

「『制而斉之』とは、我典制の要軌である。然るに此の不斉極まる現代の社会相に対し、真に同愛相恕の涙を湛えて之れが匡済(きょうさい)を云為する者幾何ありや。」(権藤成卿、「農村困弊の結果は壮丁健康の低下となれり」、昭和11年。) いまも、「不斉…

社稷の観念

社稷の観念 a1m sidedoor: 社稷の観念

たしなみ

たしなみ

「城府の繁昌は郡邑の枯衰なり」

地方分権とかいろいろ語られるが・・・大江広元に戻って考えなおすべきか。 「・・・鎌倉幕府が大江広元の意見を採り、最も修約なる中枢機関を設け、『城府の繁昌は郡邑の枯衰なり』との趣旨を以て民政を正だし、大に効果を顕わせしは、深く審考せねばならぬ…

重金資本主義

権藤成卿、『日本農制史談』の「重金資本主義」の項を読むと、○ 地方資金の中央吸収といい、○ 政府の公債発行から資本閥が確実に収得する事実といい、今日と変わらぬ、またいつの時代にも共通する核心を見る気がする。 明治大官によつて立てられた法律制度は…

駅亭

散歩を趣味とするようになって、距離というものに関心が出てきている。地産地消ということがいわれ、日本近世の三里四方という考えが見直されている。端から端まで歩いて六里、中心から行って帰っても六里。およそ一日で歩ける距離で、これが地域の基本の広…

天道の不均斉

格差社会といわれて久しいが、いつの時代も過度な社会的差隔の昂進が社会・国家を崩壊させる。 我国の前例としては、是等非常危局に際しては、必ず先ず卿相将士(きょうそうしょうし)、官人吏胥(かんじんりしょ)、自ら約して其俸禄を殺き、然る後民庶大衆…

民業に寛暇

失業率が4.4%に跳ね上がった。職を探すのも困難で、職を失う人も増えている。他方で、働く者も仕事の現場は追い立てられるように厳しい。そんななか、権藤成卿の文章に触れる。権藤が崇神朝の御誓誥(ごせいこう)に言及し、そこにある「民業を寛(ゆる…