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よろづ天道まかせで

熊沢蕃山

なれたる人

「万事なれたる人のする事は、人すくなにても功あり。人多(た)なればよくまはるものなり、・・・」 (『集義和書』) 今回の大地震、大津波、核危機、十分に対処できない政治という四重の危機を処理するのに慣れた人はまれだろうが、少ない人数でも功績を…

まことのくらき

円高に対処するため各国の協調介入が行われた。為替市場で思惑をする投機筋はハゲタカだなあ。抑制する行動が必要だ。 「凡夫は才知かしこけれども欲深く、実(まこと)のくらき所あり。其上(そのうえ)物(もの)の筋目(すぢめ)を知らざる故に、財用のわ…

盛衰

「日本の武道にも盛衰あり。今はいにしへに及びがたし。」 (『集義和書』) なんについても、盛衰はある。こと武道に限らないなあ。とりわけ政治はかつてに及びがたしの印象あり。劣化、著しいか。

思い

「それ道は聲(こゑ)もなく臭(か)も無くして存せり。思(おもひ)に及びがたし。思は言(ことば)に述べがたし。言(ことば)は書(しよ)に尽しがたし。漢字の文章にふくめる深理(しんり)は、和字(わじ)の仮名書にうつしがたし。・・・ (『集義和書…

空談

「・・・知(ち)は理(り)なり。今の理を窮(きは)むと云ふは、書の上にて文に即(つい)て講明(かうめい)し、或は空談に議論す。これ物に即(つい)て理を窮むるにあらず、文を以て友を会すると云ふものにて、友を以て仁(じん)を輔(たす)くるには…

人の知

世の中の人、賢く知にあふれている。人の知を知り、学び、用いることは大事なことだなあ。まことに「己が知を先立る者は人の下」と思う。じぶんの知などたかがしれている。

他人の非

「同志の友も、世間の人の非をば見がちにて、同志の非は見ゆるし候、他人の非を見るは、何の用にも不立して、却てさはりとなる事なり。同志の非をよく見て、互に相助けたき事に候。・・・ (『集義和書』) 確かに、他人の非を鳴らすのはよく目にするし、そ…

自得を待つ

孟子の必ず事あり正す勿れ云々を念頭に、熊沢蕃山がこう言っていたか。 「勿正はしるしをいそがざるなり。勿忘は怠らざるなり。勿助長は才覚を用ふべからざるなり。百姓の農業をつとむる如く、職人の職をつとむる如く、いそがずおこたらず才覚を用ひず、常に…

皆我にまさる處

人様が気に入らぬときがある。それはやはり「我を以って人を見」ているときだな。それぞれの人に即してその人を見れば、そういう人だと思える。いろいろな人がいるからこそ万事調うわけか。 「・・・我(われ)を以て人を見候へば、不相叶(あひかなはざる)…

かへりて益なく

「・・・いかさま学に志すほどの人は、昨日の我にはまさりぬべし。しかれども学流によりて、人品にはかへりて益なく、人にたかぶりにくまるゝばかりなるも有之体に候。・・・ (『集義和書』) 世の中にはガクのある人が「学識経験者」とかいうなんだかわか…

相輔(あいたす)くる

「・・・過(すぐ)るを磨(ま)し不足を補ひ、互に過(あやま)ちを告げて相輔(あいたす)くるものなるに、今の学者は過(あやまち)を聞くことをいとひ、至情を云ふ者をにくめば、・・・ (『集義和書』) まあいつの時代もそうだなあ。特別、学者に限る…

見解(けんげ)

「・・・柳はみどり花は紅(くれなゐ)と、それぞれに物の軽重は軽重にして置て、我あづからざるぞよく候。金銀(きんぎん)と土石(どせき)と同じく見るといふも、見解(けんげ)を以て作りたるものなり。・・・ (『集義和書』) 経済に不安のタネは尽き…

説法

「・・・世間の坊主の説法は、己(おの)が破戒無慙(はかいむざん)のいひわけと見え申し候。渡世の事に候へば、とかくの批判に不可及候 (『集義和書』) 特段、宗教のと限らないが、説法のたぐいに溢れている。そのひとつひとつ、どうなんでしょうかねえ…

一の不足を以て

「・・・一の不足を以て三の徳を廃すべきことは、上世といふともあるべからず。況や末代においてをや。 (『集義和書』) いつの時代であれ、ひとつの欠陥を正さんとして三つのよいものを台無しにすることなぞあってはならない。しかし、一つの不足をあげつ…

直なる人は

「・・・今は世間無事なる故に、理屈(りくつ)専(もつぱら)にして人を愛せず、罪過(つみとが)を求め出し、理屈を以て穿鑿(せんさく)せば、直(すぐ)なる人は多くは侍らじ。世間さわがしく国家あやふき時は、用にも立つべき者をば、何事も見ゆるし、…

人の続きがたき

「己(おのれ)ひとり高く行ひ去りて、人の続きがたき事はすべからず、くゝりつきて衆と共に行ふべし、・・・ (『集義和書』) なるほど、そうだな。特段高みにいるとは思っていなくても、人が続いてこないようなものは、たいがいたいした考えではないと考…

理屈

「理屈によつては改(あらた)め給ふべからず。人情に応じ時処(ときところ)に随つて改め給ふべし。初めて大道を興さんと思ふ者は法を先にすべからず・・・ (『集義和書』) 理屈によって世の中を変えようとする人もいらっしゃるが、なかなかそうはいかな…

一文は無文の師

「・・・一文は無文の師といへば、愚(ぐ)の如き者も虚名に居て人の師とならば、成りもこそし侍らめど、・・・ (『集義和書』) 無駄に過ごしてきた時間が多いようにも思うが、それなりに歳を重ね、若い人から物事を尋ねられるときがある。たいした答えな…

間断なき

「・・・つとめは一念独知(いちねんどくち)の知にあり。寝(ね)つ起(おき)つおこたりある様に見えても、病者か老体かにて、気疲れては休み気力付(つき)ては起きてつとめ、独知に暫くの間断なき人あるべし。・・・ (『集義和書』) さて今日も一日、…

狂見

「・・・予いまだ凡情をまぬかれずといへども、狂見ありて大意を見る故に、世のそしりにひかれず独立(ひとりた)てり。 (『集義和書』) 狂といえば、常軌を逸して狂っている意味もあるが、大なる志を持つ故に、こまごまとしたことを気に掛けないことも意…

恥心

「・・・人の親たる者徳を知らざれば、恥心(ちしん)ある子をば叱りおどして恥心を亡(ほろぼ)し、恥心なき子をばほめ愛していよいよほこらしむ。賢才(けんさい)は日々におとろへ、驕吝(けうりん)は日々に長ずる所なり。・・・ (『集義和書』) 我が…

薬を用ひて

「・・・薬を不用して、日を経ぬればおのづからいゆる病に、下手(へた)医者(いしや)の薬を用ひて大煩(おほわづらひ)となすが如し・・・ (『集義和書』) 只今の日本経済、薬を用いずして日柄で直る病なのか、そうでないのか、声高の政策あれこれ、下…

金銀財用をあたふる

「・・・人に分(わか)つに財を以てするを恵(けい)と云ふ。世人是を仁なりとし徳なりとす、受(うく)る者大に悦(よろこ)べり、人に教ふに善を以てするを忠(ちう)と云ふ、世人是をそねみそしり、教へらるゝ者は悦(よろこ)びず。甚(はなはだ)しき…

帰する所

「・・・人情を知り、且つ天下の帰する所は、人力に及ばざる事を得心ありたる故・・・ (『集義和書』) 天下の帰趨は一人の人間によってどうなるものでもない。しかし今はどうとでもなると思っている人々もいるのかもしれない。とくにマスメディアという高…

及ぼす所

「・・・人民に及ぼす所実(じつ)なく理に叶(かな)はざれば、終(つひ)に平治(へいぢ)なるまじきとなり。・・・ (『集義和書』) 政治家たちが増税を語っているが、理にかない実あるかと思う。

人の口に甘き

「・・・李(すもゝ)はたゞに人の口に甘(あま)きのみにて、終(つひ)に人を養ふべきものにあらず。麦ありて食し、麻ありて衣にし、其間の菓子には李あるもよし。朝には君子賢者有りて政教行はれ、其下に使ふには小人も苦しからじ。小人ばかりより合ひて…

膳中の一飯

「膳中の一飯も一粒一粒民の辛苦より出たり。古(いにしへ)の人は食するごとに其功を思へり。天下は相助け相報(あひむく)ゆる道理なり。・・・」(『集義和書』) こういう話、子ども時分は親からよく聞かされたもの。最近の人は食への感謝などないのかも…

知行合一

知行合一はとにかく好みの言葉であったし、いまも変わらない。とにかくやってみなければと思っている。これにつき、蕃山は心友と『集義和書』で、こう問答している。 「心友問。知行合一といへども知(しつ)て不行者多し。知ることは易く行ふことは難し。さ…

言い訳

無欲につき蕃山は『集義和書』で、こう言っていた。 「・・・無欲ならば身代(しんだい)も続き難く、世間の務(つとめ)もいかゞ有るべきと思はれ候へども、無欲なれば身代もつゞき世間の務もよく成る事に候。奢(おごり)は陽の欲、しはきは陰の欲なり。」…

言(ことば)

「・・・善事はたれも人に知られたき者なれども、秘するは故あるべしと知つていふべからず。すべて言(ことば)は、いひて人の益(えき)とならず、己(おのれ)いふべき義なくば黙するにしかず。行(かう)あしきは悔(くい)改(あらた)めて後(のち)は…