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よろづ天道まかせで

民力の直(あたひ)

地域振興とかにつき、各方面のあれこれの議論を長年聞いてきた。しかし、基本は昔から変わらんなとは、尊徳の「宇津釩之助様御知行所村々へ申渡書」を見ての感想。

「古語に「民は常の産なければ常の心なし」とかや。全く常の産不足致し候故、余業を相励み、田畑麁作(そさく)に罷成り、人少く困窮、荒地亡所の根となり候哉。此災の根元は天にあらず民にあらず、土地悪敷(あしく)作徳少き故、収納を免じ、土地を潤し、民食を足すの外有御座間敷候。譬ば土地能く実法(みのり)多く、民力の直(あた)ひ沢山有之候国々に於ては、荒地亡所無之、次第に民家栄へ人別相増し候様奉存候・・・

ここに古語とは孟子の有名な言葉、「民之為道、有恒産者有恒心、無恒産者無恒心」のこと。常の産とは本業のことだろうが、農業のきほんがうまくいっておらず、農民の生活維持が十分でなければ、農業もおろそかになり、人は困り、農地も荒れるようになる。やはり実り多い農業を実現しろということ。

ここで民力の直という表現がいいなあ。直とは値のこと。それは価値ある産物に満ちているということだろう。民力の実勢よろしければ、人々栄えて人も寄り集まってくると。