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よろづ天道まかせで

2010-01-01から1年間の記事一覧

狃、任、頼

「少(わか)き者は少きに狃(な)るること勿(なか)れ。壮なる者は壮なるに任ずること勿れ。老いし者は老に頼むこと勿れ。」 (『言志耋録』) カンタンに言えば、若い者は若いのにまかせて図に乗るな、壮年は元気だからといって何事も思い通りにしようと…

大小貧富の源

「・・・天に晝夜あり寒暑あり年に豊凶あり又人に賢愚あり業に精不精ありて盛衰貧富苦楽を生し難安は大小貧富の源を不知か故なり・・・ (「大澤小才太報徳金克譲増益鏡」) なにごとも差隔あるには源、つまりは原因があるか。それを知らねば安心な生活を実現…

極窮に陥り

「・・・老て妻なきを鰥(やもお)と云 老て無夫を寡といふ 幼て無父母を孤といふ 老て無子を独と云 如斯之極窮に陥り候共・・・ (「曽我別所村民次郎家株再興相続議定書跋文」) 我が国はこれからますます単身で世を渡り、老いていく人間が増えるだろう。鰥…

相輔(あいたす)くる

「・・・過(すぐ)るを磨(ま)し不足を補ひ、互に過(あやま)ちを告げて相輔(あいたす)くるものなるに、今の学者は過(あやまち)を聞くことをいとひ、至情を云ふ者をにくめば、・・・ (『集義和書』) まあいつの時代もそうだなあ。特別、学者に限る…

酷暑。まあ暑い。人の世の宝は、「まめ」、「ちえ」、「とみ」というが、第一の宝、健康(まめ)を害しそうだ。 「・・・人ノ世ニ宝タル者三ツアリ、・・・三宝トハ何物ナルヤト云フニ第一ニ健康(マメ)、第二ニ知識(チエ)、第三ニ富有(トミ)ノ三ツナリ…

最大目的

「・・・其中道ヲ行クヲ善シトス可シト雖ドモ、国家多般ノ事ハ必其中道ノミヲ執守ス可カラサル事モアル可シ、何様カヽル時ニハ、最大目的ニ達スル至便ナル方便ヲ求ムヘシ、・・・ 西周、『五原新範』にこうあるが、まことに国家多般。それらにつき「最大目的…

思ひつる所

「・・・誰にもあれ己ノか真と思ひ定めつる限リを人々に喩しなむと思ふに、佗(わび)し人は又己ノか真と思ひつる所もてそを拒ミつるものから、かの争ヒてふは出来めり、・・・」 (「復某氏書」) 各自にこれぞ真と信ずるものがあり、それを他人に諭そうとす…

今日

「昨日を送りて今日を迎へ、今日を送りて明日を迎ふ。人生百年、かくのごときに過ぎず。故に宜しく一日を慎むべし。・・・ (『言志晩録』) さて今日も終わりだ。よろしく慎んだかどうかはわからない。しかし休日とはいいながら、仕事をする。すべきことの…

見解(けんげ)

「・・・柳はみどり花は紅(くれなゐ)と、それぞれに物の軽重は軽重にして置て、我あづからざるぞよく候。金銀(きんぎん)と土石(どせき)と同じく見るといふも、見解(けんげ)を以て作りたるものなり。・・・ (『集義和書』) 経済に不安のタネは尽き…

中道ならぬ身に

「・・・人情は進み過てあやまち又退き過て片寄過る事多し兎角中道ならぬ身に病あり依て進退は勿論何分先後する所相分り兼無是非・・・ (「利根川分水路堀割御普請見込之趣申立書」) 物事を進めていくとき、中道を得て維持していくのは難しいものだなあと…

妄りに読むべからず

「・・・書は妄りに読むべからず。必ず択び且つ熟する所あれば、可なり。 (『言志後録』) 書物はむやみに読んではいけない。必ず良いものを選んで熟読しなさいといっている。昨今は、書物のみならず、ネットでも情報が溢れている。読み尽くそうとしたらい…

食の足る足らざる

明末清初の実学者、唐甄(1630−1704)は『潜書』養重で、こう述べているという。 「夫れ荊士・駱士の其の節を守る能はざるは、食足らざればなり。殷士の能く其の節を守るは、食足ればなり。節の立つ立たざるは、食の足る足らざるによる。食の人に于…

物産

『子爵由利公正伝』で由利公正はこう言っていた。 「物産さえ起こせば、即ち桑畑に金山が出来たと同じ事だ。如何程な金山を得るとも雖も、民力で日夜に引くほど大きいものはない・・・」 日本産業、しっかりせんといかんなァ

説法

「・・・世間の坊主の説法は、己(おの)が破戒無慙(はかいむざん)のいひわけと見え申し候。渡世の事に候へば、とかくの批判に不可及候 (『集義和書』) 特段、宗教のと限らないが、説法のたぐいに溢れている。そのひとつひとつ、どうなんでしょうかねえ…

喪ふ

佐藤一斎、『言志録』に、 「己れを喪へば、ここに人を喪ふ。人を喪へば、ここに物を喪ふ。」 とあるという。ここで喪うとは見失い、どうでもいいやと自分を見放すことだろうか。人に見限られるとき、よく考えると、その前にじぶんでじぶんを見限っているも…

易きに以て難し

選挙の騒々しさもあと少しの辛抱か。佐藤一斎、『言志晩録』に、 「彼を知り己れを知れば、百戦百勝す。彼を知るは難きに以て易く、己れを知るは易きに以て難し」 とあるそうだ。敵を知るのは難しいように感じられてもホントは容易。実は味方を知るほうが困…

外内符号するを

太宰春台は『聖学問答』でこう言っていたという。 「事と心と洞徹して一致なるを誠という。事をなしてその心なきは誠にあらず。心ありてその事をなさざるも誠にあらず。事は外なり、心は内なり、外内符号するを誠という。」 ちょっと前まで首相であった方は…

是非の争ふや

「夫れ是非の争ふや、歳時の如く然り、昼夜更迭し、相一ならず、昨日は是にして今日は非なり、今日は非にして後日又是なり」 (『蔵書』世紀列伝総目前論) 経済社会をみていると、すべて相対的なものであることがよく分かる。人は是非正誤を言うが、まあ時…

途上の人

「人の徳性は、本より是れ至尊にして対するもの無し。・・・爾尊徳性の人を以て異と為すこと勿かれ。彼其の為す所も亦衆人の能く為す所に過ぎざるのみ。人但だ性に率(したが)ひて為す、以て聖人の為を過高視すること勿かれば可なり。堯舜と途人とは一たり…

一の不足を以て

「・・・一の不足を以て三の徳を廃すべきことは、上世といふともあるべからず。況や末代においてをや。 (『集義和書』) いつの時代であれ、ひとつの欠陥を正さんとして三つのよいものを台無しにすることなぞあってはならない。しかし、一つの不足をあげつ…

直なる人は

「・・・今は世間無事なる故に、理屈(りくつ)専(もつぱら)にして人を愛せず、罪過(つみとが)を求め出し、理屈を以て穿鑿(せんさく)せば、直(すぐ)なる人は多くは侍らじ。世間さわがしく国家あやふき時は、用にも立つべき者をば、何事も見ゆるし、…

天の一人を生むは

暑い一日だった。こう暑いとぶらぶら好きな散歩もできぬ。休日まで経済のことを考えたくはないので、クーラーを効かせて、趣味の読書。中国、人民大学の葛栄晋先生の議論にはいつも教えられるので、数年前のシンポジウムでの先生の議論、「明末清初の”実心実…

回旋して移る

佐藤一斎の『言志晩録』に、人生を海潮に譬えて、 「・・・退潮は直退せず。必ず一前し一却して漸退す。すなはち回旋して移るなり。進潮もまた然り。・・・」 とあるという。これ、必ずしも人生についてばかりでないと思う。世の中のこと、すべからく「回旋…

災ひを遁るヽ

「・・・是等の志にて、何ぞ災ひを遁るヽ事を得んや。是等の人は、立(たて)から見ても横から見ても、どふしても吉事の続くべきいわれ曾て無し 『微味幽玄考』 政治家や政治好きの方々のお話をうけたまわっていて、わがジャパン、来るべき災いに対処できる…

老学

『言志耋録』に、 「老学尤も宜しく老力を励ますべし」 (老学尤宜窅老力) とあるようだから、老いても学び、そのためには老いた力にいっそう力を加えねばならないとはいえ、やはり以前より疲れはたまりやすい。本日は週末。老力を抜くとするか。

人の続きがたき

「己(おのれ)ひとり高く行ひ去りて、人の続きがたき事はすべからず、くゝりつきて衆と共に行ふべし、・・・ (『集義和書』) なるほど、そうだな。特段高みにいるとは思っていなくても、人が続いてこないようなものは、たいがいたいした考えではないと考…

富国の法

「・・・世上の経済家富国の法を論ずるに、大抵皆蓄積を以て主とするは、此れ大なる誤なるべし・・・」 (佐藤信淵、『経済要録』) ここで蓄積とは民間経済における資本の蓄積を指すわけではない。税を引き上げ、国庫の歳入を増やすことを指す。信淵の基本…

路中の游手

佐藤直方の「冬至文」には、聖学を務めずして俗学を事とする人間は「路中の游手」であるとの言葉があるという。游手とは手足動かさずぶらぶらしている存在をいう。路中は街中を指すのだろうが、今日、ネットを含め路中はいろいろ。そこで聖人の学を務め、世…

国用なる勤

「人間と申は、惣て、天性五常の徳義備居候故、上下万民、才柄無柄共、皆以て国用の積に候、諸細工、又は店を開き致商売候儀、皆以て渡世の働に候へども、畢竟国用なる勤に候。」 琉球の実学者であった蔡温は「御教条」にていいこと言っているな。才能があろ…

理屈

「理屈によつては改(あらた)め給ふべからず。人情に応じ時処(ときところ)に随つて改め給ふべし。初めて大道を興さんと思ふ者は法を先にすべからず・・・ (『集義和書』) 理屈によって世の中を変えようとする人もいらっしゃるが、なかなかそうはいかな…