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よろづ天道まかせで

途上の人

「人の徳性は、本より是れ至尊にして対するもの無し。・・・爾尊徳性の人を以て異と為すこと勿かれ。彼其の為す所も亦衆人の能く為す所に過ぎざるのみ。人但だ性に率(したが)ひて為す、以て聖人の為を過高視すること勿かれば可なり。堯舜と途人とは一たり、聖人と凡人とは一たり」
(『李氏文集』巻十八、明灯道古録巻上)

李贄のこの一文はいいなあ。個人の徳性や能力はひとり一人変わるものではなく、平等だし、優れていると思われている人のすることも、衆人にできないわけではない。個々人はその特性に応じて振る舞っているわけだ。優れているといわれる人をあまりに上のほうにいる存在にみるなと。

ふつうの衆人をもって途人と言っているのは、すばらしい。

人すべからく途上の人と思うし。