a1ma1mブログ

よろづ天道まかせで

道話社中

東日本大震災で多くのボランティアやNPOなどが活躍してきている。世の中、人心に貢献する篤志の姿に勇気づけられる。こうした社会的取り組みや事業につき、かつて大川周明は『日本精神研究』のなかで、心学者石田梅岩(石田勘平)に言及し、その流れを汲む京都の道話社中の飢民救済の活動を横井小楠が長岡監物宛書簡で伝えている一文を引用していた。私たちのなかにある社会活動の伝統を思い起こさせてくれるものだ。下記にメモして置きたいと思った。

「中国筋、長防三備芸州、別て風水の害を被り困窮甚だしく、飢民道路に連続仕候。右は大抵京大阪をさし参り申候間、二都別て夥しく、既に大阪にて去月初め所司代御手許に達出候饑死二百余人と申すことにて、其の実は五倍も御座候由、私共も現在垂んたるを見申候て、甚だ以て惻恤(そくじゆつ)仕候。大阪は今以て御救恤無之、京都は去冬霜月より御救恤有之候。此の起りは、例の道話社中より打立て、今以て此社主として取計らひ、余程其仕法も宜しく厳重に行はれ申候。道話社中と申すは、宝暦の末頃、京都にて石田勘平と申す人、元は程朱学にて専ら主として愚俗を諭し、其人一切金銭など貪り申さず、甚だ愚俗に信ぜられ申候。此の流儀にて今以て京都に社中有之、其の流儀国々に及び申し、盛なる事に御座候。京師にて豪家など此の社中に入申候へば、すぐさま人物も宜敷相成申候位にて、第一に尊信せられ候ことに御座候。既に当町御奉行なども御信向にて、節々講釈御聞にて御座候。初め官府より米五百石に銀二十五貫目御出し方と相成候間、道話社中、京師の豪商相誘ひ、都合一万両余金相集まり、三個処に施行所を設け、公平に取計らひ施行仕候間、大抵京師には餓死無之由。・・・」