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よろづ天道まかせで

高遠深長

加藤仁平編著の「二宮翁夜話読本」(報徳同志会新書(改定版)、昭和48年)を手に取る。平易な文章にしてあるのでわかりやすい。福住正兄の夜話自跋の文章が改めて目に止まる。

「道は高遠にあらずして平易なり。空理にあらずして、実地なるが故に、知りがたく行ひがたきことなし。しかるを世人まどひて、知りがたく行ひがたく、高遠深長にして、容易に窺測(きそく)しがたく、常人及ぶべからざるものをもつて、至道となして、知りやすく、行ひやすく中正平易なるもの、かえつて万世不易、天下至極(しごく)の天道なることをしらず。・・・」

考えてみれば空理を追いかけすぎていたのかもしれない。凡人には及び難い高遠深長なものがあって、容易に窺い知れぬそれを身につけねばなにごとも始まらんと思い、結局なにも行えなかったのかもしれない。