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よろづ天道まかせで

停止

どうも原発を少しでもはやく再稼働させたくて仕方ない人が政府の方々をはじめ、たくさんいらっしゃるようだ。そこで思い浮かぶのが、勝海舟が『海舟座談』で、足尾銅山鉱毒事件につき、語っている次の言葉。

鉱毒問題は、直ちに停止の外ない。今になつて其の処置法を講究するは姑息だ。先づ正論によつて撃ち破り、前政府の非を改め、其の大綱を正し、而して後にこそ、其の処分法を議すべきである。然らざれば、如何に善き処分法を立つるとも、人心快然たることなし。何時迄も鬱積して破裂せざれば、民心遂に離散すべし。既に今日の如くならば、仮令鉱毒の為ならずとも、少し其の水が這入つても、其の毒の為に不作となるやうに感ずるならん。さうして如何にして民心を安ぜんや。古河も十万円位の純益を吾有にして其他を散じ、終を克くすれば続くが、さなくして永続する道理あらふや。」
勝海舟、『海舟座談』、岩波文庫、p.141.)

鉱毒事件を福島第一に、鉱毒放射能汚染に、古河を東電に置き換えれば、まったく言う通りだなあ。各地の停止中の原発、再稼働を急ぐよりも、正論によって大綱を正すことこそ肝要か。姑息なやり口がいちばんいけなかろう。