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よろづ天道まかせで

無形の養分

#柳田國男

quote of today 2019-02-22

最近はコンビニの利用層は高齢者にシフトして若者の利用者は減っているそうだ。たしかに弁当は飽きるし高いし、スーパーで食材を買いじぶんで調理する人が増えているのだろう。若者のなかには弁当を作り、会社に持参する習慣の人も多いという。

仕事先に弁当を持っていくのはもともと、下記のようなことであったようだ。

弁当の原理は影膳などともよく似て居た。家でも今時分是と同じ飯を、集まつて食つて居るだらうといふ点に、無形の養分は潜んで居たのである。(柳田國男、『明治大正史、世相篇』、「食物の個人自由」)
 

 家族が多かったころの、陰膳。主人は仕事に弁当をもっていく。残りの家族は集まって主人がもたされた弁当と同じものを食う。弁当の原理には家族のつながりがあったのだ。それは当然、目には見えぬが確実に存在するつながりであった。

いま弁当をつくる若者たちに、このつながりという「無形の養分」があるのだろうか。

ぼくらの社会がいろんな意味で無形の養分をなくしてしまって久しい。せめて弁当は集まって食いたい。