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よろづ天道まかせで

器用ニ備フル

「金銀銭貨ノコト、上古漢土ニハ亀貝(キバイ)ヲ以テ幣(ヘイ)トス。ソノ内ニ貝ヲ貴ブ。ユヘニ宝貨(ホウクハ)・財賄(ザイわイ)・売買(バイバイ)・貪貧(ドンヒン)ソノ余、金銭ニカヽルノ字ハミナ貝ニ従フ。コレ古昔(こせき)字ヲ製スルノ時分ハ、貝ヲ宝貨トシタルユヘナリ。禹貢(うこう)ニ金銀鉛鉄ノルイヲ出セドモ、一トホリノ宝ニシテ通貨(つうへい)トスルニアラズ。スベテ器用(きよう)ニ備フルナルベシ。・・・
(『夢の代』、制度第五)

金銀のような貴金属も鉛鉄のごとき金属も、ひととおりの、普通の宝に過ぎない。器用に備えるとは役に立つ道具にするといういみ。役に立つものではあるが、財にすぎず貨幣ではないと。貝殻というそれ自体にあまり価値がないように見えるものが何故、貨幣とされたのか。人が貴ぶゆえにヴァリューが認められたのか、ヴァリューがあるから貴ぶのか。