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よろづ天道まかせで

理を以ておしあてに定むる

宣長の弟子、服部中庸は『三大考』でこう言っていたそうな。

「近き代になりて、遙に西なる国々の人どもは、海路を心にまかせて、あまねく廻りありくによりて、此大地のありかたを、よく見究めて、地は円にして、虚空(そら)に浮べるを、日月は其ノ上下へ廻ることなど、考へ得たるに、彼ノ漢国の旧き説どもは、皆いたく違へることの多きを以て、すべて理を以ておしあてに定むることの、信(うけ)がたきをさとるべし。」

人のアタマのなかには既存の知が詰まっている。その理を確信し、その理屈を押し当て推論する。そうして結論を得る。自身が納得すればよいだけならまだよいが、これを他に及ぼさんとする。「すべて理を以ておしあてに定むること」の問題がそこから生まれよう。とにかく現実それ自体を謙虚に受け止めることから思考を始めたい。