とにかくやってみる。
田中澄江は『美しい老いの秘訣』(主婦の友社刊)で、『正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)』の一節を紹介している。
曹洞宗の開祖道元の弟子で、懐奘(えじょう)の残した『正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)』の中に、こんな一節がある。
一日示していわく、古人のいわく、「聞くべし、見るべし」と。またいわく、「経ずんば、見るべし、見ずんば聞くべし」という心は、聞かんよりは見るべし、見んよりは経ずるべし、未だ経ずんば見るべし、未だ見ずんば聞くべしとなり。
この意味は、あるとき道元禅師が、昔の人は、自分の耳で聞きなさい、自分の目で見なさいと教えていると言われた。また、まだ経験がないのなら見なさい、見ていないのならば、実際にやってみなさい、またやったことがないならば見なさい。また見ていないならば聞きなさいということである、と説明されたという。
実際やってみない人は多い。見ても聞いても、「知恵袋にしまい込んでいるばかり」(上掲書)の人。情報社会で情報過多は進むばかり。しかし「実際にやってみてはじめて楽しみや喜びが生まれるものである」(上掲書)。たしかにそうだよなあと思うが、体がついていかない、腰が重い。トホホ。