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よろづ天道まかせで

永常メモ2ー老農

昨年3月まで静岡の袋井によく行っていた。

場所は、遠州である。

とはいいながら、行くたびに訪ねたいと思いながらかなわず、今年こそはと思っていた場所がある。
袋井から遠く、浜名湖の先、白須賀だからよほど時間を作らねばならない。

そこは、下記にある場所。

大蔵永常が『広益国産考』、「梨を多く作りて利を得る事」の条でこう書いているが、その場所なのだ。

爰(ここ)に遠州白須賀の宿西はづれに、猿が馬場といへる所に、山本六郎兵衛と云ふ老農あり。此人は諸(もろもろ)の作りものに委しく、又酒を造るに妙を得たり。年来園中に梨を多く作りて楽しみとせり。予は旧知にて此人の作れるを見たる斗り也。則ち猿が馬場は東海道を通り給ふ人は此翁の門を通り給へば梨の作りあるを見て作り方も聞き給ふべし。決して秘する事をせざる翁なれば、をしへ参らすべし。

梨と酒づくりの名人である。昨年秋から断酒したが、以前訪ねたのはそれ以前なので、うまい酒にはありついた。

江戸時代、遠州は酒造りも盛んであり、実は上方、灘の酒もこの地から行っていたそうだ。遠州の酒が灘に行き灘産となってさらに江戸まで下っていったのかもしれない。

そのとき酒は飲めたが、きついスケジュールで、山本六郎兵衛のいた猿が馬場には行くことはできなかった。

また、梨ではなく、袋井特産のメロンをご馳走になった。とてもおいしい上等なメロンであった。