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よろづ天道まかせで

世話場

黙阿弥の歌舞伎脚本で好きなものの一つに『舛鯉瀧白旗(のぼりごひたきのしらはた)』があるのですが、その宣伝文に、

年々歳々ありふれた隣同志の世話場をば仕組を替へて地獄極楽・・・

とあります。

同作品は亀井戸を舞台にして、町内で織りなされるお話。世話場とは近隣の人付き合いのある場を指します。もう、いまの時代、近所付き合いなどないも同然ですから、世話場は消滅しています。

地域通貨やコミュニティづくりなどというとき、人はこの、「世話場」が欲しいのですね。そこで、替えた仕組みを持ちきたし、あの手この手で地域の支え合いとか言い出します。でもなかなかこの世話場が復活しません。

理由は簡単かもしれません。

世話というものが、復活しないからです。

地域通貨、交換がなかなか発生しません、とおっしゃる方に限って、そのお方のアクションがいまひとつ。待っていらっしゃる。ところが世話があってなにかが行われ、どう「決済」するかで生きてくる仕組みが地域通貨。事には順番があるのでした。

「仕組みを替えて」、さて、どんな地獄極楽が体験されるか・・・世話好きが事を始めて、さて如何に。