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よろづ天道まかせで

「のり」と「すじ」

ジュリスプリーデンスとドロアー

「ジュリスプリーデンスを真の直訳になすときは正路之学、或は正義学と訳するの外なし。併かし此の如く訳するときは力なきに似たり。故に法科学或は法律学等訳せるものなり。此の如く物に就て直すこと能はさるか故に心に於いてよく理解せさるへからさるところなり。それゆゑに万国公法と称するものも上より下に及ほせしものにあらさるか故に法と称しかたきものなり。我日本の文字にて訳するときはローは法学(のりのまなび)、ジュリスプリーデンスは義学(すぢのまなび)となすへし。仏のドロアーは英のローなるものにて、人と人とのあひたの関係あるものにて、君とすれは臣とし、父とするときは子の関係あるか如く、ポシチフ及びネガチフの道理にして、人と人となすときは幾千万人にても互にその関係の生せさるはなし。ドロアーは人の作せるところにして、性法上に係はるものにあらさるなり。ドロアーは人と人とのあひたのものにして、之を分裁するときは権義となるなり」
西周、『全集』、第四巻、一八五頁)

明快な理解というべきだなあ。