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よろづ天道まかせで

千両の資本で二千両の商売

カネを操ってカネを儲ける金融の世界ではレバレッジを効かせて多大の借り入れをして商売をするのが通例だった。それが金融危機でうまくいかなくなった。

尊徳が商売の要領につき、こう語っていたという話が斎藤高行の『二宮先生語録』にあるが、それを思い出す。

千両の資本を持った商人が、その半分で商売をし、その半分を遊資としておけば、安い商品が知らず知らず集まって来て、多大の利益を得ることができる。これが商人の道である。また、店の商品のうち何ほどかを分外として原価で売れば、そのためにまた多大の利益が得られる。これも商売のこつである。なぜなら、品が値段よりまさっていれば、お客ばかりでなく、通りがかりの人まで店先に足を止める。反対に値段が品物にくらべて高ければ、お客でさえも顧みず、通行人などもちろんのことだからだ。さて、千両の資本で千両の商売をするのさえ、人は危く思う。まして千両の資本で二千両の商売をしたならば、失敗せぬのが珍しいくらいなものだ。*1


現実は千両で二千両の商売どころではなかった。それならレバレッジは2倍にすぎない。実際は幾十倍、幾百倍もきかせていただろう。

*1:現代版報徳全書5